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梅雨入りまで、あと少し。
雨の気配が濃くなるたび、
あの冬の温泉街で見た雪景色が静かによみがえります。
若い頃の旅は、
「いったことがない所にいく」のが大事でした。
有名な温泉地も、
名物も、
観光地も、
とにかくたくさん見たかったのです。
けれど最近は違います。
雨が降ると、
そんな冬の温泉地を思い出します。
雪を眺めながらお茶を飲んだ夜や、
窓の外を見ながら何もしなかった時間の方が、
不思議と記憶に残っています。
最近は「どう過ごしたいか」で宿を選ぶようになりました。

雨音が連れてくる冬の記憶
雨音を聞いていると、不思議と冬の温泉地の夜を思い出します。
有馬、箱根、草津──。
雪が静かに積もる温泉街では、普段よりも時間の流れがゆっくり感じられました。
湯上がりに窓辺へ座り、湯けむりの向こうに揺れる灯りを眺める。
誰かと話すわけでもなく、何かをするわけでもない。
ただ雪が降る景色を眺めていただけなのに、その静けさは今も心のどこかに残っています。

記憶に残っていたのは景色ではなく時間だった

なぜ私は雨の日に冬の温泉地を思い出すのだろう。
雪景色が特別だったからだと思っていました。
けれど今になって振り返ると、記憶に残っているのは景色そのものではありません。
窓の外の雪を眺めながら、何もしなかった時間。
誰にも急かされず、ただ静かに過ごしていたあの時間が、心のどこかに残り続けているのだと思います。
雨の音に耳を澄ませるたびに、そんな冬の温泉地で過ごした静かな時間がよみがえり、また旅へ向かう気持ちが少しずつ動き出します。
そして、季節は梅雨へ向かう

雨が降れば雪を思い出し、梅雨が来れば、また新しい旅の気配が生まれます。
若い頃は、「行ったことのない場所へ行く」ことばかり考えていました。
けれど今は、「どう過ごしたいか」を考えながら宿を選んでいます。
季節はいつも、そんな小さな変化を思い出させてくれます。
次の雨の日も、きっとどこかの雪景色と、その場所で過ごした静かな時間を思い出しているのだと思います。

🐾 友人猫将軍の旅日記
雨の日も、晴れの日も。
将軍は今日もどこかの温泉街を歩いている。
静かな旅が好きな方へ
静かな宿で過ごす一人時間については、
「誰にも会いたくない日に温泉へ行く理由」でも綴っています。

