23時|温泉旅館の予約画面を閉じた夜

温泉一人旅コラム

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ここ最近、夜になると熱海の宿を探していました。

キャンセルで空室が出ることもあるので、寝る前に予約サイトを開くのが習慣になっていたのです。

そんなある夜、思いがけず好きな宿に空室が出ていました。

行きたい宿はあったのに、
なぜかその夜は、最後の「予約する」を押せませんでした。

若い頃なら、勢いのまま旅へ出ていた気がします。
でも今は、無理をしてまで予定を詰め込むより、
「今回は行かない」という選択に、少し安心する夜もあります。

温泉へ向かうことだけが、
心を整える方法じゃない。

行かないと決めた夜に初めて見える、自分の気持ちもあるのかもしれません。

静かな部屋で予約画面を閉じた23時。
その夜は、不思議と少しだけ心が軽くなっていました。

昨晩、せかいえが空いていた

そして昨晩、ふと画面を見ると、
せかいえが一室だけ空いていました。

思わず画面を見返してしまうほど嬉しかったのを覚えています。

せかいえは、私が何度も足を運んできた好きな宿です。

「これは行くしかないかもしれない」

予約画面を開いて、予約ボタンを押しかけました。
あの、どこまでも海しか見えない景色。
静かなラウンジの空気。
思い出しただけで、気持ちが少しずつ和らいでいくようでした。

けれど、その夜は少し違いました。

行きたい宿はあったのに、
なぜか最後のポチっとができなかったのです。

でも、画面を閉じた夜

けれど、その夜はなぜか指が止まりました。

行きたい気持ちはある。
それなのに、最後のボタンだけが遠く感じたのです。

しばらく画面を眺めたあと、私はそっとスマートフォンを伏せました。

残念だったはずなのに、不思議と心は穏やかでした。

せかいえのあの静けさを、今はまだちゃんと受け取れない気がしました。

若い頃は行きたいと思ったら予約していた。

でも今は、行きたい気持ちと同じくらい、
行かない理由にも耳を傾けるようになった。

迷った末に、私はそっと予約画面を閉じました。
残念だったけれど、どこかで「今じゃない」とわかっていたのだと思います。

行かない選択をした夜。
部屋は静かなままでしたが、頭の中には、せかいえから見える海が浮かんでいました。

温泉へ向かう日も、行かない夜も

23時を過ぎた静かな部屋で、私は予約画面を閉じました。

窓の外は静かなままでした。

行かなかったはずなのに、なぜか少しだけ旅をした気分になっていました。

温泉へ向かう日も好きですが、行かないと決める夜も嫌いではありません。

その時の自分に必要な時間を選ぶことも、旅のひとつなのだと思います。

せかいえの海は、またいつか見に行けばいい。

そんなことを考えながら、その夜は少し早めに眠りにつきました。

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温泉へ向かう日が少し特別になるのかもしれません。


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