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季節がひとつ動くたびに、ふと熱海の海風を思い出します。
旅の終わりではなく、次の旅が静かに始まる場所──それが私にとっての熱海です。
若い頃みたいに、朝から予定を詰め込まなくてもいい。
海を眺めながら温泉に浸かって、少し早めに部屋へ戻る。
そんな何気ない時間が、
今の私たちには、いちばん贅沢なのかもしれません。
数百もの泉源が眠る熱海の街には、
今日もまた、“次の旅”を誘う湯けむりが静かに流れています。
季節とともに、行き先が変わる私の温泉旅
こんにちは。「一期一会」にようこそ。

冬は有馬、夏は熱海──とよく申し上げていますが、その理由はとてもシンプルです。
夏の山は、虫が多い。
ただそれだけで、行き先は自然と海側へ傾いていきます。
夏の熱海では、虫の少ない海側の御宿を選び、できれば部屋露天──ビューバス付きのお部屋を選ぶようにしています。
海風がそっと入り、湯気の向こうに灯りが揺れる時間は、夏の熱海ならではのご褒美です。
秋分を過ぎれば、有馬の季節が始まる

けれど、秋分を過ぎる頃になると、今度は山の匂いや濃いお湯の温かさを求めて、有馬へ向かいたくなります。
9月、トンボがふわりと飛び始める頃になると、身体が自然と「そろそろ有馬の季節だ」と教えてくれるようです。
有馬では、紅葉も雪景色も楽しめます。
そして何より、あの濃い金泉。
重たく深い湯が、冷え始めた身体を芯から包み込み、湯上がりの肌がしっとりと落ち着く感覚は、有馬ならではのものだと思います。
春が近づけば、また熱海へ心が向く

反対に、河津桜の便りが届く頃になると、心はまた熱海へ向かい始めます。
海の光が少しずつ明るくなり、風の匂いが変わる。
その瞬間、「また熱海の季節が来た」と自然に思ってしまうのです。
泉源が多い熱海は、宿ごとに湯の個性が違う

熱海は、これまでさまざまな災害や困難を乗り越えてきた温泉地です。
それでも多くの人を惹きつけ続けているのは、関わる方々の努力はもちろん、
豊かな湯を持つ土地そのものの力も大きいのだと思います。
熱海は泉源が多く、宿ごとに湯の個性が驚くほど異なります。
- 海側の御宿:潮の気配がふっと混ざる、やわらかな湯
- 伊豆山・高台:硫酸塩泉のような、キリッとした印象の湯
同じ熱海でも、宿を変えるだけで旅の印象はまったく違う。
だからこそ、何度でも訪れたくなるのだと思います。
そして今週末、また熱海へ

姿を変え続ける熱海へ、今週末、また足を運ぶことにしました。
1泊目は、開業して間もない御宿。
新しい風と、熱海らしい湯の香りが、どのように混ざり合っているのか──今からとても楽しみです。
海の匂いと湯気が混ざり合う熱海の空気を、またゆっくり味わってこようと思います。
皆さまにも、それぞれの季節に寄り添う温泉旅がありますように。

