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ごあいさつ

こんにちは。「一湯一会」へようこそ。
このブログでは、日本各地の温泉宿を実際の滞在を通して紹介し、旅の魅力や温泉の奥深さをお届けしています。今回のテーマは、有馬温泉の中でも特に歴史ある宿として知られる「御所坊」。
鎌倉時代から続く老舗でありながら、どこか懐かしく、そして静かに心をほどいてくれる独特の空気感。御所坊には、長い年月を経ても変わらない“温泉宿の原点”のような魅力があります。
本記事では、御所坊での滞在を通して感じたこと、宿の雰囲気、温泉の魅力、過ごし方のポイントなどを、旅人の視点で丁寧に綴っていきます。
「有馬温泉に泊まってみたい」「歴史ある宿で静かに過ごしたい」そんな方にとって、旅のヒントになる内容です。
一湯一会 ~有馬の伝説を解き明かす。
陶泉 御所坊で触れる「光と影」の贅沢な休息
「一つの温泉旅行との出会いが、人生の全ての喜びになる」――。そんな想いを込めて、私が綴るこのブログ「一湯一会」。今回、私が足を運んだのは、日本最古の温泉地・有馬において、ひときわ異彩を放ち、訪れる者の心を捉えて離さない宿「陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)」です。

画像は陶泉 御所坊ロビーイメージ。
時が止まったかのような静寂が流れるロビー。
窓から差し込む柔らかな光が、旅の始まりを告げます。
私は、これまで数多くの温泉地を巡り、その土地の「お湯の力」に魅了されてきました。しかし、温泉に求めるのは単なる成分の効能だけではありません。その宿の主人の美学、窓から見える季節の移ろい、そして一滴の源泉が湯船に落ちる音。そうした細部に宿る「物語」を肌で感じ、心に刻むことを何よりの贅沢だと考えています。
現代の慌ただしい日常の中で、私たちはいつの間にか「本当の静寂」を忘れてしまっているのかもしれません。御所坊の門をくぐることは、私にとって、時を遡り、自分自身の内面と静かに対話する静かな時間でもありました。鎌倉時代から続く歴史の重みと、谷崎潤一郎が愛した「陰翳(いんえい)」の美学。光をあえて遮ることで見えてくる、本物の贅沢。
この記事では、私が実際に御所坊の空気に触れ、金泉に浸かり、五感で感じ取った「一湯一会」の物語を、全五章にわたって丁寧にお伝えしていきます。私の視点が、あなたの次なる旅路のささやかな道標となれば幸いです。
【お宿の魅力とアクセス】 有馬の歴史を背負う、静寂と光の芸術「陶泉 御所坊」への誘い
日本最古の温泉地、有馬。その歴史の深さを象徴するのが、鎌倉時代から続く名宿「陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)」です。ここは単に古いだけの宿ではありません。
文豪・谷崎潤一郎がその著書『陰翳礼讃』で説いたように、「あえて薄暗い場所を作ることで、そこにある美しさを際立たせる」という日本独自の美学を、現代に最も色濃く受け継いでいる場所です。

画像は陶泉 御所坊イメージ:夕闇に暖かく灯る提灯と、歴史を刻んだ木造建築。
ここから非日常への扉が開きます。
館内へ一歩足を踏み入れると、まず驚くのはその「落ち着いた暗さ」です。現代のホテルのような明るすぎる照明を排し、あえて仄暗い空間を作ることで、窓から差し込む一筋の光や、使い込まれた木の床が放つ艶が、信じられないほど美しく浮かび上がります。この「光と影のコントラスト」こそが、私たちの心を日常の忙しさから解き放ち、深い安らぎへと導いてくれるのです。「一湯一会」の旅において、この静寂こそが最初のおもてなしと言えるでしょう。
有馬の風土を感じる、御所坊へのアクセスと街歩き
御所坊は有馬温泉駅から徒歩数分という、街の象徴である「ねね橋」のすぐそばに位置しています。神戸や大阪から1時間足らずというアクセスの良さでありながら、宿の敷地に一歩入れば、そこには別世界の静寂が保たれています。チェックインを済ませたら、まずは宿の目の前を流れる滝川のせせらぎを聞きながら、有馬の情緒ある坂道を軽く散策するのも一興です。立ち上る湯煙と、歴史ある建物のコントラストを眺めているだけで、心がゆっくりとほどけていくのがわかります。
金泉の真髄を味わう、御所坊独自の「半混浴」という開放感
御所坊を語る上で外せないのが、有馬の名湯「金泉」を湛えた大浴場です。ここのお風呂は非常にユニークで、男湯と女湯が低い仕切りだけで繋がっている「半混浴」という造りになっています。これは、家族やパートナーと仕切り越しに会話を楽しみながら入浴できた、かつての古き良き湯治文化を現代に再現したものです。
お湯は空気に触れて赤褐色に輝く濃厚な金泉。暗めに設計された浴室の中で、湯面に反射するかすかな光を眺めながら、重厚な温泉成分に身を委ねる時間はまさに至福です。源泉の鮮度にこだわり、大地から湧き出したエネルギーをそのまま肌で感じる体験は、まさに「一湯一会」の瞬間。この独特の空間で味わう金泉は、あなたの温泉観を根本から変えてしまうかもしれません。
【個室露天つき客室】 「翠巒(すいらん)」という贅。自分たちだけの光と影を独占する
御所坊の客室には、豪華な装飾品はありません。その代わりに、木や土、紙といった自然の素材が作る「質感の美しさ」が隅々まで行き届いています。特に、個室露天風呂を備えたスイートクラスの客室は、余計な光を遮ることで、外の景色や温泉の湯気、そして大切な人との会話をより鮮明に浮き彫りにしてくれる、魔法のような空間です。

画像は陶泉 御所坊、客室専用露天風呂イメージ図。
朝霧の中の柔らかな光が、金泉をさらに神々しく輝かせます。
客室に備えられた露天風呂には、宿自慢の「金泉」がなみなみと注がれています。誰の目も気にせず、好きな時に好きなだけ、この濃厚な源泉を独り占めできる贅沢。朝の澄んだ空気の中、あるいは夜の深い静寂の中、湯気に包まれながら過ごす時間は、自分自身をリセットするための最高の自分を整える時間となります。鉄分の香りが鼻をくすぐり、体が芯から温まっていく感覚。このプライベートな空間でこそ、温泉の本当の力と向き合えるのです。
「暗さ」を楽しむ贅沢:落ち着いた照明がもたらす心の平穏
客室の照明は、あえて低く、柔らかく設計されています。明るすぎる光は、時に思考を散漫にさせますが、御所坊の客室のような「心地よい暗さ」の中では、不思議と心穏やかに、大切な人と深く向き合うことができます。障子越しに届く淡い光や、行灯の暖かな灯りが作る影。その「ゆらぎ」の中に身を置くことで、脳の緊張が解け、深いリラックス状態へと導かれます。
窓の外に広がる有馬の山々を借景に、ただぼーっと時が過ぎるのを眺める。テレビを消し、スマホを置き、ただお湯の音と風の音に耳を澄ます。そんな「何もしない贅沢」が、この客室には用意されています。まさに、現代社会で最も手に入れにくい「空白の時間」を、ここでは思う存分楽しむことができるのです。
細部に宿る優しさ:体に馴染む設えとこだわりの品々
御所坊のホスピタリティは、押し付けがましいものではありません。肌触りの良い浴衣、寝心地を追求した寝具、そして丁寧に選ばれたお茶の葉。それらすべてが、あなたの滞在をそっと支えてくれます。特に、時代を経て艶を増した木製の家具などは、まるで宿の歴史があなたを優しく包み込んでくれているかのような安心感を与えてくれます。
【お食事】「山家料理」の衝撃。素材の生命力を五感で味わう
御所坊で供されるお食事は、見た目の華やかさだけを競う一般的な会席料理とは一線を画します。「山家料理(やまがりょうり)」と名付けられたそのスタイルは、素材の持ち味を極限まで引き出し、野性味溢れる力強さと繊細な技を融合させたものです。有馬の山々で採れた旬の野菜、瀬戸内の新鮮な魚介、そして世界が認める但馬牛。これらが、炭火の力や丁寧な仕込みによって、驚きの一皿へと生まれ変わります。

画像は陶泉 御所坊 山家料理:炭火で香ばしく焼き上げられる食材たち。
火の温もりと香りが、食欲を最高潮に引き立てます。
食事をいただくダイニングもまた、美しい「影」を大切にした空間です。暗めの室内に、料理を照らすスポットライトのような光。これにより、目の前の食材の色や質感がより鮮明になり、味覚だけでなく視覚や嗅覚も研ぎ澄まされます。一口運ぶごとに、大地のエネルギーが体に染み渡っていくような感覚。それは単なる食事を超えた、命と向き合う体験と言えるでしょう。
但馬牛という芸術:炭火が引き出す究極の旨味
メインを飾る但馬牛は、まさに絶品です。備長炭の強火力で表面はカリッと、中は驚くほど瑞々しく焼き上げられたお肉。口の中でとろける脂の甘みと、噛むほどに溢れ出す肉の旨味は、一度味わえば忘れられない記憶となります。地元の天然塩を少しだけつけていただけば、肉本来のポテンシャルの高さに圧倒されるはずです。
また、お料理に合わせて厳選された日本酒やワインも、この食体験をさらに豊かなものにしてくれます。お湯に浸かってリラックスした体に、美味しいお酒と滋味豊かな料理。このマリアージュこそが、旅の醍醐味であり、明日への活力を蓄えるための最高のサプリメントになります。
朝の光の中でいただく、心温まる朝食
夜の深い静寂の中で味わう晩餐も素晴らしいですが、翌朝、清々しい空気の中でいただく朝食もまた格別です。炊きたての土鍋ご飯、手作りの豆腐、香ばしく焼かれた魚。どれもシンプルですが、丁寧な仕事が感じられる品々です。朝の光が差し込む中で、ゆっくりといただく朝食は、あなたの体を優しく目覚めさせ、今日という新しい一日の始まりを祝福してくれます。
陶泉 御所坊での一昼夜。それは、有馬の古い歴史に身を浸し、美しい陰翳の中で自分を取り戻し、大地の恵みに感謝する、まさに「一湯一会」の物語。宿を後にするとき、あなたはきっと、心身ともに生まれ変わったような爽快感を感じているはずです。
まとめ|御所坊は“静けさ”と“深い癒し”が同居する特別な宿
歴史が息づく空間が心を整えてくれる
御所坊は、古いだけではなく“古き良さ”が丁寧に守られている宿です。木の香り、静かな灯り、落ち着いた佇まい──そのすべてが、訪れる人の心を自然と穏やかにしてくれます。
金泉の力と、ゆったり流れる時間
有馬ならではの濃い金泉に浸かると、身体の芯から温まり、旅の疲れがすっと抜けていきます。湯上がりの心地よさと、宿全体に漂う静けさが相まって、まるで時間がゆっくりと流れているような感覚に包まれます。

おわりに
御所坊での滞在は、華やかさよりも“深い落ち着き”を求める人にぴったりの旅です。日常から少し離れ、静かに自分を整える時間を過ごしたいとき、ぜひ訪れてみてください。
きっと、帰る頃には心も身体も軽くなり、また来たくなるような余韻が残るはずです。
私が自信をもっておススメする御宿です。
御所坊は、華やかさよりも“静かな豊かさ”を感じたい方に、そっとおすすめしたい御宿です。
個室露天風呂付き客室では、有馬の金泉と向き合う特別な時間を、より深く味わうことができます。
詳細やご予約は、陶泉 御所坊公式ホームページをご覧ください。
それではまた、「一湯一会」でお会いしましょう。

